2022.08.23

化粧品の乳化とは?目的、種類、メリットを紹介

私たちが利用している化粧品は乳化という技術が使用されています。化粧品を製造する際の乳化方法が異なることによって、その化粧品の機能も異なります。

乳化方法によって、乳化粒子を微粒化できたり、肌なじみを良くしたり、有効成分を多く含ませることも可能です。

このコラムでは乳化について簡単に説明した後、主な乳化技術やそのメリットについて解説します。

化粧品における乳化の定義

クリームや乳液、化粧水などの化粧品における乳化は、水に溶ける成分と油分を同時に配合するため、互いに混ざり合わない2つの液体の一方が微粒子となり、もう一方の中に分散している状態のことを指します。

 

乳化の種類としては、主に水が油分を取り囲む「O/W乳化」と、油が水分を取り囲む「W/O乳化」があります。

乳化の目的

乳化には水成分と油成分を混ぜて均一にし、その状態を保つという目的があります。乳化を行わないと化粧品成分が水と油で分離した状態になり、化粧品として使用できないものとなるからです。しかし、乳化することによって、油と水が混ざった乳化粒子を細かくしたり、有効成分を皮膚へ浸透させやすくすることも可能です。

乳化の方法

乳化の主な方法として、乳化剤(界面活性剤)を加え界面張力を減少させる力と、物理的エネルギーによる剪断力で油と水を攪拌させエマルションを作る方法が一般的です。最近では界面活性剤フリーの要望もあり、化学的な力を使わないで乳化を行う場合もあります。

機械乳化

物理的な力で乳化させる方法で、攪拌によって生じる強力なせん断力・衝撃力によって均質で微細な乳化粒子を生成します。一般的には製造機械付属のホモミキサーやホモジナイザーを高回転させ力を加えます。

 

乳化粒子を微細化する高圧乳化

高い圧力をかけることができる高圧乳化機で乳化すると、乳化粒子を微細にすることができます。通常の乳化では粒子径は約10μmになりますが、高圧乳化機を使用すると200~300nmまで細かくすることが出来ます。これにより保湿クリームでもサラサラとした使用感のクリームを作ることが可能となり、剤型を自由にコントロール出来るのです。

 

安定した品質を生み出す真空乳化

乳化装置の攪拌する槽内を真空にすることで、化粧品に気泡が混入せず、品質が安定したエマルションの製造が可能となります。

また槽内は密閉された状態になりますので、混ぜ合わせた水分が蒸発することなく処方どおりの分量で化粧品を製造することが出来ます。混合時に空気を吸引しながら抜泡を行いますので、抜泡のために機械を止める必要がなく、工程が省けるメリットもあります。

 

化学的乳化

乳化剤を使用して、化学的に界面張力を低下させ乳化粒子を作ります。乳化だけではなく、乳化後に分離しないような安定性を保つことも化学的乳化において大事な要素になります。化学的な乳化法はたくさんありますが、ここでは化粧品の処方開発においてよく使用される乳化技術について解説します。

 

均一な乳化粒子を生成する転相乳化法

転相乳化の原理として、界面活性剤を溶解・分散させた油相中に水相を加え、初期の段階のW/Oエマルション生成させ、さらに水相を加え転相を起こし、O/Wエマルションを生成させます。比較的微細で均一な乳化粒子のエマルションを得られやすいです。

 

ゲル状にして安定性を出すアミノ酸ゲル乳化法

水分を多く含むW/O乳化において、アミノ酸を用いる事で油相をゲル状にし、高い安定性を持たせる乳化技術になります。油相を高い粘度にすることで、分散相である水を動かないようにします。またアミノ酸を溶かした水と、天然由来の界面活性剤「グリセリン脂肪酸エステル」を合わせたことにより、安定性だけではなく感触よく保湿効果が高い乳化製剤の製作が可能となります。

 

ラメラ構造を形成する液晶乳化法

O/W乳化において、界面活性剤が形成する液晶中に油相を分散させて微細なエマルションを生成する技術になります。乳化剤の成分として、乳化粒子を細かくしラメラ構造を形成しやすい二鎖型の界面活性剤を使用する場合が多いです。

メリットとしては通常乳化より乳化粒子が壊れにくく、肌に塗布した際のべたつきを抑えることが出来ます。

また乳化粒子が油と水分の層になって結合し、皮膚構造に近いラメラ構造を形成するので皮膚なじみがよく、皮膚表面上で油膜バリアを張りながら角質層の深いところまで浸透します。

 

参考)ラメラ構造を形成する乳化剤>>JMIX OW-LC green

 

乳化技術で高機能な化粧品作りをしたい場合は

このような特長のある乳化技術の習得は、高性能な製造設備と処方技術が必要であり、それらを会社や個人で持っていないと非常に開発時間とコストがかかります。また処方を会社が所持していても、実際に製品を作ってみたら再現されないということはよくある話です。

JC皮膚科学研究所では原料サンプル、処方、ベンチマークとなる化粧品の提供と技術サポートも行っております。気になる方は検討段階でもお問い合わせいただければと思います。専門の研究員がお客様にあった処方開発を提案させていただきます。